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2009.03.14

24:26

 30年ほど前、ブルートレインブームというのがあった。30年前というのは、コンニチでは考えられないほど寝台列車が豊富に走っていて、東京発の西日本方面や、上野発の北日本方面など、1日に10数本の列車が出ていくような状況だった。そのため、次々と列車がホームに入ってきては出ていくという、若いマニアには想像もできない光景が毎日展開していたのだった。

 もう倒産してしまったが、勁文社という出版社があった。ここは、ハガキと同じくらいのサイズでぶ厚い、「ナントカ大百科」というのをたくさん出していた。これらの本の最初の1冊を、東京駅地下ホームの売店で購入したことが、わしが鉄道好きになった理由なのは間違いない。

 当時、沢山走っていたブルートレインの中でも、富士は別格だった。東京西鹿児島間を24時間26分で走る。この数値は忘れえないものになっている。ケイブンシャなどの本で繰り返し出てきたからな。一日以上かかる列車の旅。そりゃあすげえ。いつかは自分も、と思っていた。

 わしわ実家が弘前なので、上京するためには奥羽本線を走る寝台列車に乗らねばならぬ。当時はまだ新幹線というものはなかった。乗る列車は寝台特急あけぼの(まだある!)か寝台急行津軽のどちらか。家族は鉄道に乗ることに楽しみを感じない人たちだったので、青森回りで583系はくつるに乗る、などということは一切なかった。電車で寝台、ということにもグッとこない家族だったのだった。
 そういう家族から、この多方面な趣味のわしが出てくるのだから世の中よくわからん(笑)

 わしがよく乗ったあけぼのや津軽は、B寝台3段式、またはA寝台2段式の20系客車(津軽はもっと古い車両だったような気もする)だった。そのためもあったのかもしれないが、東京発の列車に連結されているA寝台個室、というものにあこがれた。後日、あけぼのに連結されるようになったA寝台個室にも乗ってみたが、それは新しい車両で、ベッドの幅なども改善されてしまっている。わしが乗りたいのは、富士に連結されている狭い棺桶のような個室。評判が悪かった時代のA寝台個室なのだ。

 だが、その夢ももうかなわなくなった。東京発の最後のブルートレイン、富士/はやぶさは、3月13日発車分をもって廃止になった。棺桶A寝台を連結している列車は、これが最後だった。
 さらに、だいぶ前から、富士は日本で一番長い時間を走る列車ではなくなっていた。行き先が鹿児島ではなくもっと手前の大分になっていたからだ。
 かつて旅先で富士を2度見た。最初は沼津で、その後は中津で。どちらも富士がわしを呼んでいるのだ、と感じたものだったが、結局乗る機会を逸してしまった。

 今、中津で書いた日記を読んだら、"九州新幹線が全線開業したらこの状況はさらに変わるのではないか。"などと述べている。だが、そこまで富士はもたなかったのだった。

 子供の頃読んだ本に、"これでテレビが見られれば完璧"と書いているものがあった。当時は無理だったが、現在はワンセグがある。これで完璧な旅が実現できるはず、と思いDSテレビを購入したのが1年前。結局、寝台列車で使うことはなかった。残念だ。

 新幹線に乗っても、旅行をしている"あの感じ"はあまりしない。自分にとっての未知、わくわくする土地に連れていってくれるのは、いつもあの青い列車だった。いつか、我々の旅に対する考えがまた変わって、寝台特急が復活してくれることを望む。

P.S.
 今思い出したが、寝台列車に乗っている時、いつも"どこで雪が消えるのか"を確かめようとしたものだが、毎度眠ってしまって確かめられたことがない(笑)

P.S.2
 寝台列車に乗っている時、夜中にふと目覚めると列車が停車している。駅名を見るとまったく知らぬ名前。そこで時刻表を取り出して位置を確認する。これがものすごく面白い。

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コメント

昔某社の入社式に行く為に初めて東京に出たとき(いなかものですw)に寝台特急に生まれて初めて乗りました。そしてソレが最後になりました。

あかつき。

そんな長崎も新幹線を引く時代になったのでちょっと複雑な心境です。
てかどうやって市内に乗り入れするつもりだw

投稿: めるち | 2009.03.14 01:10

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