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2011.12.31

今年いなくなった人たち

 今年いなくなった人たちについて書いておきたい。今年は、わしに大きな影響を与えた人が、例年より多く亡くなってしまったような気がする。

喜味こいしさん
 子供の頃、がっちり買いまショウでいとこい師匠を知った。ツカミでやるネタが面白すぎて困った(笑) いとし師匠はツッコミ甲斐がある人だったが、こいし師匠はスルっと突っ込んでいた。たまにボケツッコミが逆になる事があったが、まったく違和感はなかった。これが名人という事なのだろう。大げさな動作とか一切なしの喋りだけでの漫才は、誰にも尊敬されていた。もういとこいは完全にこの世にないのだと思うとなんだか寂しい。

坂上二郎さん
 子供の頃、コント55号が好きだった。役者もやるようになって、夜明けの刑事では主役。とてもよかった。だが、役者専門になったわけではなく、カックラキン大放送ではちゃんと面白い事もしていた。それもちゃんと一生懸命動いて笑わせる従来どおりの方式で。この頃の活躍は、今スカパーで見る事ができるが、とても面白く感じる。
 子供の頃のヒーローがまたいなくなった。

芦田豊雄さん
 アニメの作り手、というものを最初に意識した時、そこにいたのがこの人。ミンキーモモでだった。その後もバイファムやガラットと、わしがどんどんこの道にはまっていくようにワナを張り続けてくれていた…ような気がする。こういうわかりやすい先人の存在はありがたい、と今は思う。

小松左京さん
 気付いたらSF者になっていたわしにとって、小松左京の作品で最初に読んだのがなんだったかは全く思い出せない。
 これで日本のSFも大丈夫だ、とか思っていたさよならジュピターがイマヒトツで、うわああ、と思ったこともなつかしい。だが、今の目で、一連の映画化作品であるエスパイ、日本沈没、復活の日、首都消失とかがとても面白く見られる。これらはどれも、スケールの大きな出来事が起こった時、社会はどのように動くのか、という事をものすごく考えて書かれている。こういう作家は近年見ない。
 わしをSFに引き込んだ一人がまたいなくなった。

滝口順平さん
 70年代、滝口順平は何にでも出ていたような気がする。その後、日本で最初に吹き替えをした人物ときき、生きる伝説のように思っていた。そしてぶらり途中下車の旅だ。開始時は番組の存在を知らなかったが、腹が痛くて病院に行った時に待合室のテレビで観たのだった。番組の構成が現在と大分違ったので、かなり初期だったのだと思う。
 毎回、旅に一緒についていっているような感覚。旅人もそういう調子で話していたので、あとからナレーションを入れているのがわかっているのに錯覚していた。これは他の旅番組にはない特徴だった。"おいしそ〜"とか、"たべた〜い"の本気感(たぶん本気)は他の人には出せまい。
 この人には、死ぬちょっと前まで、存分に楽しませてもらった。本当にありがたい。

スティーブ・ジョブズさん
 わしの感覚、物作りの方向性、こだわり、そういったものに多大な影響を与えているのは間違いなくこの人だ。Apple][、Macintosh、NeXT、iTunes、Mac OS X、iPod、iPod touch(iPhone)、どれも惚れ惚れする製品だ。打ち込めるものを常に用意してくれる人がこの人だったのだ、と亡くなってから気付く。そういや、すごい物は失われた時にそのすごさに気付くんだった。

梶田達二さん
 子供の頃、最高に好きだったプラモのシリーズがあった。それはアオシマの合体マシンだ。アオシマはその後も連合艦隊の船を宇宙っぽくしたシリーズとかを出していた。そのパッケージアートを描いた人こそ、梶田達二だ。この人は、この世に存在しようがしまいが、どんなものでもかっこよく描いてしまう、という技を持っていた。パッケージアートを離れ、油絵で機関車や帆船を描くようになっても、それは変わらなかった。最高にかっこいい。こんな技を持った人はもういない。

立川談志さん
 わしのプロフィールに、"落語家に入門させられそうになって逃走する"というのがあるが、この落語家こそ立川談志だ。
 上京してすぐの頃、初めて談志の噺を生で聴いたのだが、すげえなあ、と思った。落語家のすごさを思い知らされた。
この時は、政治家だった事も、立川流を創設した事も随分前の話、という感じだったが、エラいことをやらかす人はやっぱり違う、と感心したものだ。
 …あの時入門していたら、前座世界記録を立川キウイと争う事になっていたような気がしてならぬ(笑) 幸いだったか。

内山まもるさん
 子供の頃、コロコロコミックで見た、ザ・ウルトラマン。そしてリトル巨人くん。わしの中では、面白い漫画を描く人、というイメージだった。そして近年になってからのウルトラまんがの復活。すごいのは、内山まもるが作り出し、円谷プロはからんでいなかったはずのメロスが登場し、活躍している事だった。数多のコミカライズ作品をみてきたが、このような事が出来た人は内山まもる以外いない。かっこよく、悩みが多いキャラクターとして描かれるウルトラマンは、わしにとって標準的なウルトラマンのイメージとなった。

 詳しくは書かなかったが、シドニー・ルメットさん、はぬまあんさん、高桑慎一郎さん、出﨑統さん、団鬼六さん、児玉清さん、川上とも子さん、ピーター・フォークさん、小林修さん、和田慎二さん、宮尾すすむさん、宮路武さん、前田武彦さん、竹脇無我さん、杉浦直樹さん、北杜夫さん、黒沢良さん、アン・マキャフリイさん、荒木伸吾さん、市川森一さんも今年亡くなっている。

 ここに挙げた亡くなった人たちの遺したものは、あまりにも大きい。その巨大さ、すばらしさは目もくらむばかりだ。本当にありがとうございました。

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